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企画展「没後90年記念展 宮沢賢治と石」

 久留島武彦記念館では、第25回企画展として、「没後90年記念展 宮沢賢治と石」を7月7日から9月24日まで開催します。岩手県の「石と賢治のミュージアム」から、『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』など9作品に出てくる、21種類の石、全26点をお借りし、大分で初公開します。

 宮沢賢治の作品は、鉱物を用いた表現が多いことでも知られています。

金剛石(ダイヤモンド)

 「俄かに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。見ると、もうじつに、金剛石や草の露つゆやあらゆる立派さをあつめたやうな、きらびやかな銀河の河床の上を水は声もなくかたちもなく流れ、その流れのまん中に、ぼうっと青白く後光の射した一つの島が見えるのでした。」  『銀河鉄道の夜』

 炭素のみからなる鉱物で、モース硬度は鉱物中で最大の値を示します。一般的に無色透明で美しい光沢をもちます。 『銀河鉄道の夜』では、銀河のきらびやかさをダイヤモンドの輝きに例えています。

貴蛋白石(プレシャスオパール)

 「僕がその山へ入ったら蛋白石どもがみんなざらざら飛びついて来てもうどうしてもはなれないぢゃないか。それが君みんな貴蛋白石(プレシャスオパール)の火の燃えるやうなやつなんだ。」  『楢ノ木大学士の野宿』

 オパールの特徴はその虹色の光沢でしょう。この光沢は「遊色効果(イリデッセンス)」と呼ばれ、オパールを構成するシリカの球が層状 に 規則正しく配列することにより、「光の回折と干渉」という現象を起こして現れるものです。宮沢賢治もその輝きに魅了され、貝の火』や『楢ノ木大学士の野宿』 など、その美しさが魅力的に描かれた作品があります。

紫水晶(アメシスト)
 

 「黄色な草穂はかゞやく猫睛石、いちめんのうめばちさうの花びらはかすかな虹を含む乳色の蛋白石、たうやくの葉は碧石、そのつぼみは紫水晶の美しいさきを持ってゐました。」   『十力の金剛石』

 水晶が微量の鉄と放射線の影響で紫色に染まったものです。 『十力の金剛石』ではこの石でできた、ようやく(センブリ)の花が登場します。

 その他にも、賢治のメモ書きや手紙、ハガキなどを通した直筆、「雨ニモマケズ」の壁、風の又三郎が座っていた教室を再現した空間、注文の多い料理店で猫が覗いていた鍵穴などがあり、宮沢賢治の世界観をたっぷり楽しめる展示になっています。みなさんのご来館を職員一同心からお待ちしております。

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